老い方上手 6  在宅ひとり死   By 上野千鶴子

「おひとりさま」関連の第一人者・上野千鶴子さんの本は何冊も読破。
他にも色々読んでいたつもりが、あの頃から十数年たっているので、
今回紹介されている書籍は、知らなかったものが殆どです。

1冊5章の中の、ほんの1章、50ページ弱の分量ですが、
切り口が爽やか、明快で分かり易く、しかも学者さんらしく、
有益情報が緻密に網羅され、読みごたえがありました。

p.104 「家にいたい」は年寄りの悲願
持ち家で、年金もそこそこあるリッチな高齢者でも、
足腰が弱くなると、家族が放っておかず、施設行に

実は私自身の母も、自分で選んで「施設行き」を決めました。
そこには、上野さんが言うように、
「家族に迷惑をかけたくない」という思いが沸々と溢れていました。
実際、色々問題が起こり始めた頃から、私と姉は交代で母につきあい、
最初は買い物程度から徐々に泊まり込み、食事介助まで行いました。

母が住んでいたのは「高齢者専用マンション」で、車椅子対応だし、
健康管理室・訪問看護ステーションや、食堂も浴室も完備していました。
なので、本人さえ強気でいられれば、最期までマンションの自室で
逝けたのでは?と、今でも思います。

大正生まれの「典型的日本女性」だったのに、考え方は先進的で、
常々「介護は専門家に頼み、家族は精神的支えになって欲しい」と主張。
持ち家を売って、それが可能な高齢者マンションに移り住んだのに、
なぜ、姉妹が泊まり込みに行ってしまったのか???

それは、他ならぬ母自身が、「泊まってくれると本当に安心だわ」と言い、
朝が来て、娘の帰り際には「悪いけど、またよろしくね」となり、
泊まらざるを得ない状況でした。そして徐々にお互いに身体的疲労と、
母は娘たちへの気遣いで疲れてしまい、老健へ移ることになったのです。

上野千鶴子さんは完璧に「おひとりさま」らしいので、
この辺は気丈なのでしょうね。
問題は、「一人暮らしの親」の安全を願う子供たちや親せきの
<常識&非常識のせめぎ合い>です。

私自身は「上野式思考法」で、気丈に一人暮らしを続けたいと思いますが、
果たしてどうなることやら?

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