引き出す力  宮本亜門・著  2012/10

ミュージカル公演の目処が立たない中、現在進めているのは、
生歌付き電子紙芝居です。
私にとっては全く新しいジャンルなので、勉強が必要と思い、
図書館で見つけたこの本、とても面白く参考になりました。

著者は高名な演出家ですが、こういう方でも、
常に順風満帆ではなく、試行錯誤や葛藤があり、悩み、考え、
人とぶつかりながら切り開いていかれた様子が良く分かります。

とても参考になったのは、その演出法です。
P.31 僕は「こうしなさい」という一つの選択だけを上から
   与えたりはしません。なぜなら、結局、その人の自立性を
   失わせることになるからです。役者としての想像力を失い、
   駒としての演じ方に徹してしまうのをどうしても避けたい。

   僕の望む演出家とは、あくまでも本人が自分の意識で
   道を切り拓いていくためのお手伝いをしていることになる

ミュージカル研究会は、演劇ド素人が殆どなので、
「自分で考えなさい」と言われても、見当がつかない人が多数です。
それでも、ミュージカルがやりたくて入会したのですから、
少しは考えられるはず。

ミュージカルに限らず、体操でも自力整体でも、師匠の教えや
組織のガイドラインは吟味・勉強して、さらに自分で発展させるべき!
と信じています。
うまくいけば、
P.28 (上から引っ張ろうとか、まとめようと思うと不安だが)
   今は、お互いに触発され、そこから自分が予期していなかった
   ものや、計画や想像の範囲を超える面白い化学反応が生まれる
   という確信のもとでスタートしている

P.29 相手を一つのイメージの中に封じ込めるようなことはせず、
   指示ではなく、あくまで提案として、僕が思っているイメージを
   理解してもらったり、その役や台詞に興味を示してもらえるような
   助け舟を出します。

私は、性格的に天邪鬼なので、「言われた通りより、別のこと」を考え、
かなり抵抗します。もちろん、納得すれば喜んで従うけれど、
自分で考えないと気が済まないのです。

P.20 理想の仕事場とは、お互いがオープンに、対等な立場で話し合い、
   誰かがトップダウンで指示するのではなく、共に考え、お互いに
   同じ目標に向かっていくような場所のことだと思うのです。

利益をあげる必要がある会社とか、大きな組織の場合、難しいかもしれ
ませんが、我がミュージカル研究会は、趣味の活動なのですから、
「ただ動かされる」「自主的な練習ができない」というのは嫌です。

プロでさえ葛藤がある現場を知ることができ、上手くいった時の
それぞれの喜びが分かったことで、私のミュージカル活動の展望が
とても明るくなりました。

   

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