日本の医療制度や内容について、私は懐疑的だったのですが、
こういう本を読むと、「あ~、やっぱり……」と、ガックリきます。
P.78 排便回数だけで判断する日本の医師たち
多くの方たちが、排便回数が少ない状態を便秘と考えています。
そして、日本独特の医療教育のせいで、多くの医師たちもまた
一般の人たちとその点では大差ないのです。
つまり、諸外国では
P.78 便が硬くてなかなか出なかったり、ひどく力を入れなければ
出なかったり、残便感に悩まされたり、分割排便にわずらわされ
たりといった排便困難症もまた便秘に含まれるので、
たとえ毎日10回おつうじがあっても、その人は便秘かもしれない
という概念(定義?)があって、
患者が訴える苦痛を取り除くのが医療者の義務だそうです。
ところが日本では!!!
何故、日本は世界の趨勢を無視して、独特の医療を考え出してしまうのか?
ここに私は、もの凄く不健全な臭いを感じるのですが、どうなのでしょう?
誰も、これらを改革しようと思わないのか? 総論は賛成でも各論はダメ?
ま、著者の中島医師によると、遅々としてはいるが、少し前進したのだとか。
P.93 2012年に日本でじつに32年ぶりに便秘の新薬、それも
P.94 世界基準の薬が発売されたのです。(中略)
小腸の末端で少しだけ水分のバランスを変えることで、
便をやわらかくします。
また2017年には、腸管内への水分分泌を促進するリナクロチドや
ナルデメジン、2018年にはエロビキシバットという便秘薬が
日本で発売になりました。
(中略)これまで長いあいだ、日本の便秘患者の方たちは
足に合わない靴を履かされてきたようなものです。
新薬はそのような方々に、酸化マグネシウムとセンナ以外の選択肢を
用意することができます。
日本の便秘の患者さんにもようやく希望の光がさしてきたようです。
なぜ~~~???と叫びたいです!!
欧米はもちろん、東南アジアの国々でも患者のQOLを考える治療なのに、
「日本は検査で病気を見つけるのは非常に得意だけれど、
異常がないと分かったら、患者さんの訴えている症状のケアはなおざり」
という事実が結構、知れ渡っているそうです。(P.90)
本当に悲しい、情けない話です。