P.59 <絵の見方>について
アメリカ屈指の美術批評家の話。
「絵には作品名がないほうがいい。作品名があると、
見る側がそれに左右されてしまう。
(その批評家は)作家本人に会うこともしませんでした。
説明を受けたら、自分の判断が鈍るかもしれない。
作家に会うと情が移るかもしれない、と考えたからです。
なぁるほど……と思いました。
P.60 絵というものは、自分のなかに湧いてくる思いを、
目に見えるようにしたものなので、
「なにを(表している絵なのですか?)という質問には、
私はいつも戸惑いました。
絵に表れているものこそが、質問の「なにを」で、
そしてその「なにを」は見る人によって、
どのように受け止めてもいいものだからです。