「与命」 ⑦

日野原先生が尊敬されるオスラー博士の紹介がP.94にあります。

オスラー博士の最大の功績は、

   内科学その研究と診療に科学(サイエンス)と人間のための術(アート)の
   療法を取り入れたことです。そして、そのことを医学教育に徹底させたことです。

   疾病の研究と治療だったそれまでの医学に、

   人間探求を基礎にした医学のありかたを確立し、

   人間のための医学であることを具体的な診察方法、学ぶ心がまえ、

   医師としての生きかたにまで及んで医学生に教えました

   若き日、この考えと医師として生きる生き方に感銘を受けた私は、

   それからというものは彼の著作に学び、理解し考え、

   それらのすべてを実践に取り入れる努力をしました。

   いわば私の医師としての根とも幹ともなり、そこに無数の枝とつややかな葉を

   繁らせてくれたのがオスラー博士の存在でした。

   (中略)<会ったことはなくても>そのことを残念に思うより、

   彼の存在を知ったことがはるかに大きな影響を私に及ぼしました。

   彼の著作と同じように、博士の著作から学んできた多くのアメリカの医師からも

   充分に学ぶことが可能でした。

   ひとはひとから学びますが、それは必ずしも直接でなくても、

   学ぶ必然性と情熱があれば

   世界中の誰であろうと学び続けられることが分りました。

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