2020/12に養老先生の愛猫「まる」が亡くなった時の話です。
p.89 その1年くらい前から、まるはよく鳴くようになり、
p.90 1日のほとんどを寝てばかり過ごすようになりました。
2020/11/13には、いつものように家の周りの散歩に
出かけたと思ったら、いつまでたっても戻ってきません。
林の中を探したら、動かないでじっとしていたので、
ちょっと嫌がったけど連れて帰りました。
後になって、あのときまるを連れて帰ったのが本当に
良かったのかどうか反省しています。
でも連れて帰ってしまったので、しょうがありません。
苦しんでいるのですから動物病院に連れていくことにしました。
ここから愛猫「まる」の苦しみが始まるわけです。
病名は「拘束型心筋症」(いわゆる慢性の心不全)で、
心臓の薬を飲ませ、飲まなくなってからは注射で押し入れ、
胸にたまった水を抜く。そのうち腹水も抜くように。
相手が猫であっても人間であっても、苦しんでいる場合は、
和らげてあげたいと思うのが、周囲にいる普通の人の感覚です。
食欲がなくなって瘦せ細り、ひからびてきている老人を見たら、
「せめて点滴を!」と叫びたくのが人情だそうです。
でも、これが「余計なお世話!」で、かえって老人を苦しめるそうな。
人間は、痩せてひからびてくれば、苦しみとか痛みを感じなくなり、
安らかに眠るように逝けるそうです。
ところが周囲の「無知な人たち」にはそれが虐待に見えて、
「治療・医療放棄」だと騒ぎ立て、静かに旅立ちたいはずの老人を
苦しめることになりがちです。
その治療や点滴のお陰で数年も寿命が延びるのなら良いけれど、
回復の望みがないのなら、やる意味はないと思います。
私自身が「まる」だったら、死期の近さを悟った林の隅で、
人知れず眠るように逝きたかったかも・・・・・
でも、家で好きに過ごせる(不要な点滴なしで)なら家で死にたい。
「治療や手術が必要な病気やケガ」をせず、
医療体制に組み込まれないよう、ヘルスリテラシーを高めつつ
暮らしたいと思います。