P.82
「わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です」
(これは)宮沢賢治の有名な「春と修羅」という詩集の冒頭にある一節です。
このイメージは、細胞内で無数に明滅しているミトコンドリアという発電所の
光景と重なり合います。
この後、エネルギーを生み出すシステムに関しての説明が続きます。
だいぶ前に安保 徹医師の本を読んで、ウ~ムと私なりに納得して、
「カイトとミトコの妥協結婚物語」というシナリオまで書きかけた、
あのミトコンドリアがまた登場しました。
未だ読んでいない方のために少し書きますと、
カイト:解糖系の略:男性的:糖を分解してエネルギーを産出:嫌気性:シンプル
ミトコ:ミトコンドリア系の略:栄養素と酸素を結び付けてエネルギーを産出:好気性:
複雑高次
(細胞レベルの複雑な話なのでこのスペースでは語りつくせません。
なるべく安保医師の本をじっくりお読みください。)
面白いのは、これほど性質(性格)の違う二人が、
一つの細胞の中(屋根の下?)で
大きな目的達成(生命の進化)のために、お互いに犠牲を払い合い、
妥協して暮らしている!ということです。
P.88 つまり、酸素は燃焼することで酸化=老化がうながされるリスクが
ありますが、その一方で食べ物の栄養素から取り出された水素と
結びつく過程で解糖系をはるかに上回る高エネルギーを生み出せる。
この高エネルギーが生命の進化の原動力になっていったのです。
酸化=老化を「死」と言い換えるならば、
延々と分裂を繰り返していた生命は、
「死」と引き換えに「成長」を手に入れた……というわけです。