老い方上手 4  認知症について  By大熊由紀子  

アブノーマライゼーション
p.52 日本の人口は世界の2%なのに、精神科のベッドは世界の20%という
   異常な事態になっています。統合失調症などの厳格も妄想を和らげる
   薬が開発され、入院が減ってしまいました。

   その空きベッドを埋めるために、精神病院の中に認知症病棟という
   国際的に例のないシロモノができてしまいました。これは
   ノーマライゼーションの逆の「アブノーマライゼーション」です。

p.53 デンマークには「1959年法」という法律があり、
   「どんなに知的なハンディキャップが重くても、人は町の中の
   普通の家で普通の暮らしを味わう権利がある」という内容です。

私は常々、日本では介護に限らず、不要な薬の処方や検査が繰り返され、
薬のせいで具合が悪くなっている人たちの存在に怒りを覚えています。
その最たるところが、このような劣悪な「認知症患者への虐待」ともとれる
政策です。高齢化先進国からもっともっと学び、良くしていかねばならない
のに、日本では医療関係者の「生き残り対策」として患者が利用され、
結果的に膨大な医療費のつけが次世代に引き継がれていくのです。
もぅ、ホントに止めて欲しい!! 悲鳴になってしまいそうです。

10年くらい前にデンマークの高齢者の暮らしに触れるツアーに参加し、
高齢者大学、快適な住居などを見て回りました。そこでは、
p.56 ヘルパーさんは「目は離さないけれども、手は出さない」という
   プロの訓練を受けています。また「訪問ナース」という司令塔がいて、
   入院したときから、退院後、車椅子でも外出や料理ができるように
   住宅改造なども含めて手配しています。

   生活の節目節目に現れるヘルパーさんは「おむつを取り替える人」
   ではなく、その人の誇りを膨らませるプロと位置づけられていました。
   ヘルパーさんの資質としては、「同じことを何度いわれても受け止め
   られる」「ユーモアのセンスがある」などが大事にされているのです。

p.57 「自己資源バスケット」という考え方がデンマークでは大切にされています。
   たとえば、「手足が不自由」「本を読むことができない」「自分でお
   風呂にも入れず、食事を作ることもできない」などに着目するのではなく、
   「自分で食べることはできる、ニンジンの皮を剥くことができる」など
   残っている自己資源に着目する思想です。

   デンマークの高齢者医療福祉政策3原則とは、
   ①人生の継続性の尊重
p.58 ②自己決定の尊重
   ③自己能力の活用

全部は写しきれないし、概要しかお伝え出来ませんが、とにかく
全文章を多くの方に直接読んでいただきたい素晴らしい内容です。

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