以下は<牛乳パラドックス>の話です。
P.69 牛乳のカルシウムは、乳糖という牛乳特有の糖質と結合して
存在しています。乳糖を分解しないと、カルシウムは吸収でき
ません。乳糖を分解するのはラクターゼという消化酵素ですが、
日本人の85%はこのラクターゼを持っていないのです。
ラクターゼを持っていない人が牛乳を飲むと、お腹にガスが
たまってごろごろしたり、下痢になったりします。とちらも、
消化・吸収がうまくいっていないことを示す症状です。
そんな状態でカルシウムは吸収されるのでしょうか。
大半の日本人にとって牛乳は、むしろお腹の状態を
悪くしてしまう食品なのです。
P.70 カルシウムさえ摂れば骨が強くなるというのは、大きな
誤解です。骨を作るのに必要な栄養素はほかにもたくさん
あります。ミネラルでいうとマグネシウムやリン。
ビタミンDも必要です。
ミネラルが体内で正常に働くには、理想的な比率があります。
例えばカルシウムとマグネシウムは2:1のバランスが理想。
しかし牛乳のカルシウム:マグネシウム比は10:1。
だから牛乳を摂るほど、体の中は相対的にマグネシウム不足
状態になってしまいます。この点からも、牛乳がカルシウム源
として、必ずしも優れているわけではないことがわかります。
リンとカルシウムは1:1のバランスで働きます。ここにも
問題が隠れています。リンはインスタント食品や加工食品に
多く含まれているため、いわゆるジャンクフードを多く食べる
人の体内では、圧倒的にリン過剰になりがち。すると体は
過剰なリンを体外に排出するのですが、このとき1:1の比率で
カルシウムも一緒に捨ててしまいます。
つまりカルシウムだけをいくら摂っても、食生活全般が
乱れていたら、多くがむだになってしまうのです。