デンマーク報告③ 認知症または高度要介護者ケアの実態
話は前後しますが、3日間の研修の2日目は統合ケアセンターの訪問でした。
何が統合されているかというと、介護・医療・生活の全てが統合されているのです。
以前は、現在の日本と同じように「在宅が無理になったら施設へ」という流れで、
3つの分野の連携プレーがスムーズでなかったそうです。
この状態から、「コンパクトな住居を介護&医療の場所(在宅ケア)に」変えたおかげで、
高齢者の生活の場に介護と医療の両方が直結した訳です。
私も実際に居室を見せていただくまでは明確に想像できませんでした。それを分かり易く
表現するなら、多分、以下のような感じです。
1.広々とした高級老人ホーム的な個室(当然、趣味の絵や生花が飾られている)に
2.毎日ヘルパーや必要な医療担当者が訪ねてきてくれて、
3.本人の残存機能を最大限保持させるためのケアを受けられ、
4.かかる費用は税金で賄われる。
5.医療&介護する側も、移動距離が短くてすみ、相談体制が整って、
効率的な仕事ができる。
6.全て本人の同意・納得が得られるよう根気良い努力が続けられている。
7.家族は精神的な支えとして、毎日電話したり、気軽に訪ねてきたりするが、
介護に関してはプロに任せる。
8.要介護の高齢者自身も、若いものの生活を犠牲にさせるような事態を決して望まない。
日本からの介護関係者は、北欧諸国の施設を見学したり研修を受けても、
「これは日本では無理だ!」と初めから諦めムードのようです。それは昨日書いたように、
日本にはソフトとハードの二つを統合する人と予算システムが無いし、介護を受ける側にも
遠慮や複雑な感情・事情があるので直ぐに「日本では難しい!」という言葉に繋がるのだと
思います。
とにかく日本には「介護者の健康を守る法律も技術を統括して教育現場に生かしていく
システムもないわけですから。それでもここは、小島ブンゴード孝子さんが著書で書かれているように、
誰かが(出来るだけたくさんの人が)出来る範囲で少しずつ改善を試みて、
その成果を多くの人が共有できるよう、伝えあうシステムを育てていくしかないようです。
旅行の後半、スエーデンに立ち寄りました。観光名所のガムラ・スタンではたくさんの
福祉系大学生が目に付き、若い歓声(嬌声?)が溢れていました。
この中の何人が身体を壊さずに、魅力的な専門家として育ってくれるのか、甚だ不安ですが、
頑張ってもらうほか有りません。それ以前に、要介護の次世代予備軍である団塊世代が、
整食・整心・整体を心がけ、健康は自分でつくりだすものだという意識を強く持って、
「介護なんて要らないぜ!」と叫べる老後を迎えたいものです。
*写真は、個室でなく、洒落た談話室で陽気なお喋りを楽しむレディーです。
ご本人と介護の方の許可を得て撮らせていただきました。