P.205 介護業界、不都合な真実
(前略)残念ながら、介護業界は若い人の感受性を育てる場が今、
ほとんどない。来るものは拒まずで、猫も杓子も採用して、
疲弊させるだけさせて育てない。
P.206に介護現場の実情を綴った、衝撃的な(といわれる)本が紹介されています。
『崩壊する介護現場(ベスト新書)』中村淳彦・著
以下、その書からの抜粋(長尾医師による)です。
P.207 介護は溢れんばかりの需要が待っている希望に満ちた成長産業と、多くの人は
思っているかもしれない。しかし、一歩介護の現場に足を踏み入れれば、
慢性的な人材不足、高い離職率、低賃金という代表的な問題に加えて、
虐待、介護職員や経営者の倫理観の欠如、専門性の欠如、質の低下、
過剰な報道、高齢者虐待防止法の過剰な解釈、
団塊世代が後期高齢者となる2025年問題…………
目先は改善しなければならない問題と矛盾だらけの上に、
長期的な展望も”ネガティヴのカオス”になっている。
P.208 どんなに行政が頑張ったとて、このカオスが一朝一夕で改善される方向に
向かうとは僕には思えないんです。むしろ、
感受性の豊かな子から介護業界に失望して辞めていく。
感受性の鈍い子のほうが、介護業界で生き残っていけるという、無情の世界や。
(丸尾)そこを改善するにはやっぱり家族の力が大きい。
在宅なら良いわけでも、施設なら良いわけでもない。
介護者と被介護者、二者の心を殺さずに、
最大限に良い方針を選び取るために、
何が一番良い方法なのかを考えてほしい。
P.213 介護施設を選ぶときに、
「ここではどれくらい看取っているんですか」と訊くことは有効やね。
在宅患者紹介ビジネスが、昨年はクローズアップされました。
法の網をくぐり抜けたとんでもない商売です。
*在宅患者紹介ビジネス:
紹介業者が、高齢者施設で暮らす患者を医師にまとめて紹介し、
見返りに医師から診療報酬の一部を受け取る(つまりキャッシュバック)
ケースが急増している問題。
現状の法律では違法ではないが、2013年には国会でも取り上げられた。
これを受け、2014年4月から患者紹介料が禁止される見通し。