「こんな夜更けにバナナかよ」 渡辺一史・著 2003/2

461頁の、深刻な内容の分厚い本なのに、結構早く、集中して読み終えました。
タイトルを見ただけでは、何の本だか分かりませんが、
サブの「筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」を見れば、納得です。
つまり、<真夜中の誰もが死にそうに眠い時間帯に、患者の要求を満たすこと>

P.459 あとがきに、この本の意味が凝縮されています。
 
   地域で生きることを志す重度心身障害者たちは、
   「他人と生きる宿命」をそのカラダに刻みつけられた人々である。
   
   人との関りを断って部屋にこもっていては生きていけず、
   障害が重ければ重いほど多くの人間関係を結び、
   その関係が豊かでなければいい介助が受けられない。

   (中略)ワガママであれ、エゴであれ、人間同士の摩擦や対立であれ、
   自分と他者との間にいつも横たわる普遍的で根源的な問題について考え続けること
   つらくてしんどい作業だったが、興味の尽きないことだった。
   
私自身のボランティア活動は、こんな壮絶なものではなく、
「楽しく学ばせていただいている」という感じです。
世田谷区の元気リーダーとして体操指導をするために、研修を受けり、
楽しくて効果的な体操を考えること、本を読んで研究することは喜びです。

でも、この本を読むと、<ここまで求めるの??>
<そこまで応えなきゃいけないんだ!>という驚きがいっぱいです。

私達は、若い頃は、筋ジスの人たちのように<切羽詰まった>状態ではないけれど、
年老いて、体が弱っていけば遅かれ早かれ、全身が動かなくなって心臓も止まります。
いくら元気な歳を重ねてきていても、いつかは全面的に誰かを頼らねばならない……
そんな日のために、謙虚な気持ちで、このような本を読むのは大切なことだと思います。

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